それは祈りのような

すきなこのことをすきかってに

きいろい光を灯した、宝石みたいな日々

 

すきな人にあった帰り道は気怠い幸せに包まれて一人で立っていることも難しく、ポールに身を預けてひたすらすきな人のことを考えていた。このまま目を閉じて知らないところまで行ってしまいたいという気持ちと、日常に戻らなくちゃ、がぐちゃぐちゃに混ざり合ってひとりで涙を堪えながら否応無くわたしを現実へと引き戻す電車に揺られていた。

 

2019年4月28日。世間は平成の終わりと令和の始まりに向けてふわふわと浮き足立ち、さらにはGW10連休も重なりそわそわとした熱気がどこにいても漂っていた。もうすぐ5月というのになんだか肌寒くお気に入りの半袖のワンピースは陽の目を見なかったが、それでも髪を整えいつもより念入りにお化粧をして、下ろしたての靴を履いて、精一杯キラキラを乗せて強くてかわいいきもちでだいすきな人のいる日比谷へ通った。

 

だいすきな人は長かった前髪をぱつんとまゆの下あたりで揃えていて、すこし幼く甘い印象になっていた。幕が開いてだいすきな笑顔でステージにいてくれた、もう、そこにいてくれたという事実だけで胸がいっぱいでたまらなかった。晴れやかで自然な笑顔がスポットライトに負けないほど輝いていて、さらにはダンスが格段に上手になっていて、心底驚く。身長がどんどん伸びていく中、長い手足をどう取り扱ったらいいのかわからないような日もあったと思うけれど、そんなとまどいは一切見られなくて嬉しかった。気持ちと身体がしっくりときている感じで、とてもしなやかに伸びやかに踊っているようで嬉しかった。

 

新調されたセリフメドレー、任されたセリフが俺っぽくないと言って笑っていたけどわたしはぴったりだと思った。MCで褒められてガチ照れしてる大昇くんが可愛すぎて溶けた。そういう等身大の男の子な部分を垣間見ると、そのギャップにいつもやられてしまう。だって踊っているときはもう幼さだとかあどけなさだとか、そんなのはとうに薄れてしまって今では16歳とは思えない大人びた表情で会場を沸かせているのに、、自覚ないの?と心配にさえなる。(大昇くんってわたしの世界でいちばんかっこいい人なんだよ!)

 

大昇くんの陶器のような白い肌が舞台に映えていて、大昇くんはステージに立つために生まれてきた子なんだ、とぼんやりと思う。挑発的な目をしたかと思えば艶っぽく見下ろしてみたり、ダンスもバキバキで色っぽくてもうどーーーーーしようかと。ほんと、正気ではいられないし、あ、もう現実で好きな人できないなと諦めの境地に達した。"乾くココロ 震わすBPM"のあと意地悪な笑みを浮かべて上手へ移動するえっちな大昇くんをいくらでも出すから映像化してほしい。これがわたしのすきな人なんですって見せびらかしたい、と思う気持ちと独り占めしてわたしだけの大切な宝物にしちゃいたい気持ちでバチバチしてしまう。いつでも記憶を取り出して再生できる世界になればいいのに。忘れたくないことほどどんどん零れてしまってるし。小道具を使ったハードな振りもなんなくやりきる大昇くん、初日は少しお口が開いていた演目も日が経つにつれてきゅっと口をつぐんでさらっとこなす姿に痺れた。こんな数日でも絶え間なく成長するなんて、なんて素晴らしいアイドルなんだろうなあ、ほんと、すごいなあ。


今回はよく会場を煽るような目線を振りまいていて、これもうわたしずっとずっと言い続けると思うんですけど大昇くんの目って魔法だと思っていて。急にふっと目の光が消えて感情のない乾いた視線になることがあって、その瞬間に大昇くんの将来性を感じていつもぞくぞくしてしまう。でも曲が変わればまたふにゅんと溶けた目尻で柔らかい笑みを浮かべてそこにいてくれて、雪が溶けて春が訪れるような魔法だと思う。演技のお仕事、来るって信じてるよ。絶対絶対来るよ。

 

 

川の流れのようにはもう、歌が別物になっていた。初めて少クラで聞いた時、ジャニアイで聞いた時、もっともっと色が付いていなくて清廉な歌声で、もちろんそんな表現が大好きだった。最後に聞いた時から3ヶ月経って、その変化に驚いた。大昇くんの心の成長がそのまま歌に現れているようで、歌声はぐっと深みと力強さを増し、その説得力で鼓膜と心が震えた。

 

大昇くんはソロをもらう機会がありがたいことに多いけど、でもやっぱり今回のソロは特別だった。自分は何がやりたいのか、何を求められているのか、構成は、演出は、きっといろいろ試行錯誤した答えがあのステージだったんだなと思って愛おしさで胸がつまる。16歳の大昇くんは周りに流されない信念がきっとあって、すきなものをすきと言える強さがあって、そんな大昇くんのこだわりが詰まったステージだった。

少クラや舞台では思う存分に美声を響かせる曲が選ばれることが多くて、川の流れもそうだし、雪白の月、きみにこの歌を、タイタニックとかもそう。与えられたハードルを影の努力でひとつひとつ乗り越えて、歌という武器でたくさんの人の心を掴んできた。でも大昇くん自身が選んだのはそういうのじゃなくて。うんとうんと素朴でシンプルで、飾り気のない曲だった。一見すると少し無骨でぶっきらぼうだけど、よくよく中を覗くと温かくてやさしくて愛に溢れた歌だった。

そんな歌をギターとカホンと1本のマイクで歌い上げる姿が本当に眩しくて、きみに出会えてよかった、きみをすきになってよかったと何度も何度も思う。歌い上げるというよりも、お話ししてくれてる感じで少し恥ずかしくてくすぐったくて、でもわたしも真っ直ぐに向き合った。

周りの評価とか求められてるものとか大昇くんはきっとそういう次元にいるんじゃなくて、自分のやりたいこと、すきなことを突き詰めていきたいんだなって、それは絶対に間違ってないし大昇くんの感性を信じてこのまま進んでほしいなってそう思った。よくも知らずに吐かれる心無い言葉に惑わされずに、引っ張られずに行きたいところへ行ってほしい。ここにいるよ、大昇くんのしあわせ願ってる人。頼りないけど、いつでも願ってるよ。

 

 

ボケまくる大昇くんはサイコーだしモノマネして滑っちゃってもかわいいしなんなら家族みたいなものだって言ってくれて愛おしいの塊でしかないし。数打ちゃあたるの精神は嫌いじゃないしというかもう大昇くんの声が聞けるだけで嬉しいし。時々口悪くなっちゃうのもなんかいいなって思ったり、結構博識なところがあって尊敬したり。なんだかんだメンバーと笑い合ってる大昇くんが大好きだ。ずっとずっとこの6人で、なんて儚い願いを持ってしまう。これからの長い人生において岐路になるこの時期を、こんなに全力に、まじめに、いろんなものを犠牲にして駆け抜けた彼らが足元を掬われませんように。どうかそんなむごいことをする大人がいませんように。いろんなものを見てきてネガティブになってしまったおとなは、キラキラ輝く6人を見れば見るほどに愛とか幸せとかの裏にそんな燻った気持ちを隠しきれなくなるときがある。

 

今回のセットリスト、ファンに向けて、のメッセージももちろん含んでいるだろうけど、実は自分たち自身を鼓舞していたのではないだろうかと思う。去年のクリエで挫折を感じた若い若い6人が、言いたいことも言えなかった6人が、話し合いときにぶつかり試行錯誤しながら過ごしてきたこの1年。きっと自分たちのカラーを見つけたいと模索し続けた1年だったんだろうなと、勝手に、思っている。

 

残念ながらわたしはみんなが"やりたいことを詰め込みすぎてファンを置いてきぼりにしてしまった"と語るその場にはいられなかったのでその変化というのを実に体験してはいないのだけれど。それでもこの公演はきっと自分たちの変化をひしと感じながら、もっともっと上へ行きたいと、みんなが願いながら作ったステージなんだろうと感じた。きっと自分の気持ちを上手に伝えられなかったり、相手の気持ちを理解できなくてもやもやしたり苛立ったり、自分のスキルやキャラに悩んだり色々あったのだろうと、思う。

 

それでも。

"誰もがセンターになれて、それでいてソロでも取り上げられるようなグループ""王道のグループになろう"と、共有できた6人はとても強くてえらかったと心の底から思っている。やり方や考え方が少しぐらい違っても目指す方が一緒ならはぐれることはないと思うから。

 

6人が満面の笑みをたたえて、汗をいっぱいかいて、息を切らしてステージに立っていてくれた。姿を見せてくれた。それが全ての答えだった。それがわたしの世界の正解で、その瞬間に立ち会えたことが何よりも嬉しい。

 

本編ラストのGraduation、エモすぎる選曲だったと思う。"誰もがセンターになれて、それでいてソロでも取り上げられるようなグループになりたい"という伏線を見事に回収していたのではないだろうか。

この曲は個々のソロで展開していくけれど、誰かがソロを歌っている時他の人が何をしているかというと、コーラスやハモりに徹している。ソロよりも目立たず、でも存在感は消さずに上手にバランスを取って主役を引き立てる。そんな風に役割がくるくると変わって、ピンと張り詰めた微妙なバランスを保ちながら前に進んでいく6人は、とても崇高で荘厳で、気安く触れてはいけないような雰囲気を纏っていた。

 

あぁ、これが、だいすきな大昇くんが仲間と作り上げた世界なのだ。ガラス細工のように繊細で、瞬きが許されないほど儚くて、煌めきと可能性を無限に秘めた6人の星がステージでこれでもかと輝いていた。

 

きっと何年経ってもこの景色を忘れないだろうと思う。平成と令和の移り変わりを大昇くんをすきな気持ちで過ごせたこと、忘れたくないな。というか忘れられるはずがない。一生に一度あるかないかの経験を大昇くんとできてよかったな、ほんと、よかった。

 

 

 

せめてこれが大昇くんの明日への光になりますようにと、今日もわたしは黄色いペンライトを精一杯握りしめる。きみの幸せだけを祈りながら。届いてたかな、届いてるといいな。

 

ステキな経験と思い出をありがとう。9日間おつかれさま、ゆっくり休んでね。